ジョージ・ウォーリントンは40年代に白人として最初にバップに取り組んだ
進取の気性に富んだピアニストとして知られるが、55年に彼がジャズクラブの
ボヘミアで旗揚げしたオール黒人サイドメンによるバンドは、彼が考案した
「ペック奏法」をバップに次ぐ新しいスタイルとして普及せしめんという
野望があった。
-featuring The Peck-とジャケットに書かれたこの作品は
幻の「ペック奏法」を知る唯一の資料なのである。
いま聴いてみると、それはキツツキがつつくような断片的な音で、
アルト・サックスのジャッキー・マクリーンとトランペットのドナルド・バードが
アンサンブル部分で集団即興演奏を行っているに過ぎずハードバップやモードのように
ジャズの根幹を変えるようなニュー・スタイルには全くなりえないことが誰にでも分かるが
当時としては本気だったのだろう。
彼もこの一見不器用にしか聴こえない「ペック奏法」を次の作品以後、二度とアンサンブルに入れる事は
無くなり、これは大失敗の事件に終わってしまったが、それ以外の大部分の演奏内容は
「超一流のハードバップ」であったために、本アルバムは「モダンジャズの名盤」として
長く歴史に刻まれることとなった。
ジョージ・ウォーリントン・ライヴ・アット・カフェ・ボヘミア
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